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2019/9「主体性」と「意欲」
(前号からの続き)
「意欲」とは、物事を積極的にしょうとする意志・気持ちのことであります。 「意欲」の意味をこのように理解すると、前号で取り上げた「主体性」とあまり違いがないように思われるかもしれません。しかし、同じような意味合いのようですが、「主体性」とは自分の意志・判断によって、自ら責任をもって行動する態度であるとすれば、「意欲」は主体性を成り立たせる中身だと言えると思います。ある機関紙で岡崎女子大学教授の矢藤誠慈郎先生が次のような文章を載せておられるのに接しましたのでご紹介いたします。

『これからの時代の乳幼児期の教育・保育は、
① 身近な環境に自分からかかわりながら、
② さまざまな興味や関心をもち、
③ やりたいと思ったことに向かって、
④ 自分なりに考えたり、工夫したり、試したりし、さらに
⑤ 友達と話し合ったり、考え合ったりして試行錯誤するという姿をめざすものです。』

この中で中心になる要素は、「さまざまな興味や関心を持つ」ということであります。
 本題になりますが、子どもに意欲を養うためには、まず遊びの中で興味や関心に突き動かされることだと思います。子どもに意欲を育てようとするなら、常に意欲的に活動することが継続していることが第一条件になります。その意欲を誘発するものが興味とか関心になるのです。興味や関心の大切さは、子どもが強い興味・関心に触れると、そのことをやりたいと突っ走りますし、そのことにのめり込こみますし、持っているものを離してでも突き進みますし、汗水たらして没頭します。
それは子どもが生来持っている野性的本能とでもいえるものだと思います。そういう活動のさなかに、子どもは試行錯誤をするのです。これからの子どもに是非とも必要なのは試行錯誤です。試行錯誤を繰り返す中で、いわゆる創造性というものが培われるのです。学校教育では最近の子どもの弱点としてこの創造性の乏しさが指摘されていて、その回復に大いに力を注ぐことの重要性が喫緊の課題だと言われています。このことに関して、矢藤先生は次のようにおっしゃっています。
『ある小学校の校長先生が、しっかり遊んでいる子どもほど、学びに向かう姿勢が身についており、先生の話も興味をもってしっかりと聞くことができます』と。意欲的に取り組むことのできる子どもには、創造性も養われ、今後を生きる力としての主体性もしっかり身につくのだと知らせていただきました。 南無阿弥陀佛(輪番)

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