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2020/12「育ち」には「遊び」がとても大切である
先日行われました学園の作品展をご覧いただいたことと思います。いかがでしたでしょうか。わが子の作品をどのように見てくださいましたでしょうか。

 これまでに子どもの「育ち」には「遊び」がとても大切であることを中心課題としてお話してまいりました。「遊び」と言いましてもさまざまあるのですが、大人の頭の中では遊びと勉強、遊びとお手伝い、という具合にはっきりと分けて考えることしかできません。保育者の場合、遊びの本質を知らない人は一人もいないと思います。

保育士や幼稚園の先生になりたいと、一生懸命に勉強してきた人ですから。しかし、そうだからと言って日常の保育そのものが「遊び」を主体に置いたものになっているとはなかなか言えません。明治時代にはじまった日本の幼稚園教育は長い歴史のなかで「遊び」よりも「教育」に主体を置いたような道をたどってきました。いばらき大谷学園は幼稚園であった歴史の方が長かったので、認定こども園になっても以前の幼稚園教育が捨て切れないまま今日に至っています。

 さて、このことを踏まえて作品展の話に戻ります。基本的には「遊び」としての製作活動という視点をもっていなければならないと思います。ややもすると多くの親御さんは他の子どもの作品と比較して我が子の作品を評価したり、実際に我が子が作品の中で表現しようとしていることを観ていなかったのではないか。

例えば描いた線ひとつにも、小さな丸ひとつにも、子どもの思いや、発達の段階が見えているものです。だからこそ、子どもの表現したい思いを感じ取ったり、聞き取ったりして、その子の育ちを共感していくことが必要なのです。また、製作の技法として、描き方や色使いなどを気にします。

しかしそういうことよりも、子どもが描きたい、作りたいという気持ちの高まりが最も大切だと思います。だからこそ保育者は、作品を作る前の手立てを真剣に考える必要があります。描きたいという気持ちが高まると、興味を持って深く観察したり、想像したりします。描き始めた時は子どもの思いを見守っていく。

描くことが頂点に達すると、子どもは発見の楽しさを享受し、描き方を自分で工夫したりして学ぶ嬉しさを感じ取る等々、このことが絵画製作をはじめとした製作活動全体の「遊び」ではないかと考えています。

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