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2021/4子どもの「育ち」(実践例)
秋の遠足に、忍者屋敷で有名な〇〇ファミリーランドへ行きました。が、4歳の子どもたちは、忍者屋敷より“お化け屋敷”に好奇心をもって、「先生、はよはいろ!」とばかり。おばけ屋敷に入った子どもたちはキャツキャ言って、怖がったり、おもしろがったりして、強烈な印象として残ったようであった。園に戻ると子どもたちから「おばけごっこしよう」という意見が出ました。

しかし担任は悩みました。「おばけで遊びが発展するだろうか」「どこまで遊び込めるだろうか」「ただ、キャーキャー騒ぎ遊びで終わるのではないか」と。しかし子どもたちのどうしてもやりたいという強い声にひかれて、子どもたちと相談しながら“おばけ活動”に突入しました。まず、囲いがいると言い出し、お寺の裏の藪へみんなで竹笹を切りに行きました。さらさら揺れる竹笹は、まさにおばけ屋敷の雰囲気が出て、更に部屋を暗くなるように模様替えをしました。子どもたちは、大きなゴミ用の紙袋に廃材をつけたり、穴をあけてかぶったり、連日暗い部屋の中で“おばけ”づくりに興じ、おばけになりきる子どもが次々とでてきました。ところが「しかけおばけをつくりたい」と言いだし、びっくり箱のように突然飛び出すおばけを作るには、「どうしたらできるか」とみんなが悩み、担任も一緒になって話し合いに加わりました。

以前、園庭の木にロープをかけ“井戸のつるべのような遊び”をしていた何人かが、「あれをここ(お部屋)につるしてひっぱったらよいやんか!」と発想するものがでてきました。さっそく担任が天井に滑車をつけ、ロープをつるし、子どもたちが作ったおばけをつるす。担任と子どもたちの共同作業でお化け屋敷ができあがりました。子どもたちから「ヤッター」の感激の声。担任も共鳴し、破れ提灯、破れ障子を探し出してきて“おばけ屋敷”づくりに必死になっていました。さらにゲゲゲの鬼太郎の音楽でムードづくりすると、おばけに扮した子どもたちが、カスタネット・スズ・トライアングル・タンバリンを持ち出し、“おばけなんてないさ”の大合唱も始まりました。おばけ屋敷開場当日、おばけたちは赤い絵の具で“血”を表現し、腕にはおばけらしく見えるように色付けし、“しかけおばけ”では「はよ!引っぱれ!」と友だち同士で気をあわせてロープを引く役割をしていました。おばけ屋敷の入り口では、1、2歳児のための案内役がいて、暗いおばけ屋敷の案内をしていました。

子どもたちは必死に取り組んでいました。その分、子どもたちの顔は輝いていました。遠足から約2週間、たっぷり時間をかけての子どもたち自身が造り上げた“おばけ“と”おばけ屋敷“の活動でした。子どもたちの遠足の体験が、のめり込む程の強い関心を抱いたことで、子ども自身が遊びを発展させていったのでしょう。担任が「おばけの活動なんて発展性がない」として、子どもたちの言い分を退けていたら、この次々と創り出されたみごとな”あそび“を見ることは遂になかったと思います。子どものおかげで、私の固定概念がまた一つ破られたのです。これはある保育園での実践報告です。

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