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2017/3煩悩具足の凡夫
年末年始は穏やかな暖かい正月であったが、一変、様々な地域で寒波が押し寄せ、積雪による被害が多く、まさに異常気象と言わざるを得ない状況であった。しかし三寒四温を経て、着実に春を迎え、仏法聴聞の良き時節である「彼岸」が訪れるのである。

この彼岸会とは、苦しみ悩み多きこの娑婆世界(穢土・現世)から、覚りの世界(浄土)へと至り得るために、阿弥陀如来の願いを聞き開く仏事である。そこには、「汝よ直ちに来たれ」という阿弥陀如来の招喚(呼び声)があり、そして「この道を尋ねて行け」というお釈迦さまの発遣(促し)である「二尊の願い」を確かめる大事な法要である。ここに阿弥陀如来の深い願いを訪ねれば、「摂取不捨(選ばず・嫌わず・見捨てず)」のはたらきによって、誰もが解放され「救済の道」を賜っていくのである。

昨今ある国の大統領は、国境に大きな壁を造り、限定した国からの入国禁止など、自分にとって不都合なことは認めない、排除する在り方を示している。そこには選び・嫌い・見捨てるという閉鎖的な生き方があり、「自己中心の世界」に陥ってしまうのである。

仏の眼から見れば、人間みな、「煩悩具足の凡夫」であると教えられる。そんな人間の在り方を見つめ直し、「摂取不捨」のお心に目覚め、誰もが救われ解放される道を賜る「彼岸」を迎えたいものである。 南無阿弥陀佛(輪番)

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