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2015/9親鸞聖人の教えに生きる力
先般、新聞に「子どもの自殺 9月1日最多」というショッキングな記事が載っていた。内容は、1972年~2013年の42年間に自死した18歳以下の統計であり、そこには9月1日に131名の最多とあり、次いで4月11日、4月8日、9月2日、8月31日と続く。これらは長い夏休みが終わり、新学期が始まる時期に、自死が増える傾向がある。生活環境の変化による心労や不安などが複雑に絡み合い、学校での居場所を見失い、自ら死を選ぶという悲しい結果となっているのである。 この記事を読んだとき、私は作家である高史明氏の言葉を思い出した。高氏は、12歳の息子さんの自死と向き合う中、『歎異抄』と出遇われ、親鸞聖人の教えに生きる力を見出された方である。ある日、高氏の所に一人の女子中学生が相談に訪れ、深い悩みに対して、このように語りかけたのである。「あなたが死にたいと思っているのは、あなたの頭で思っていることかな。君が死ねば頭だけじゃなく、その手も足もぜんぶ死ぬ。まず手をひらいて相談しなきゃ。君は普段見えない足の裏で支えられて立っている。足の裏をよく洗って相談してみなさい」と。後日、その少女から手紙が来て「足の裏の声が聞こえてくるまで、歩くことにしました」と書かれていました。 私たち人間は物事を頭の中で分別し、結論に至ってしまうことが多い。自己のものさしだけを絶対化せずに、いのちそのものの深い願いに耳を傾けば、「今、いのちがあなたを生きている」と教えられてくるのである。南無阿弥陀佛(輪番)

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