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2020/10子どもにとっての「あそび」と「居場所」
子どもにとって「あそび」は、自分の意欲を満足させるものです。「今日は何をしてあそぼうかな」「〇〇ちゃんとあそびたいな」「あしたもここであそぼうね」。そのような、子どもの「あそび」を通しての満足は、安心や自信につながり、さらに新たな意欲を湧き起こします。「あそび」を通して体を動かし、試行錯誤することによって、人として生きる力が育ち、心身の成長へとつながっていくのです。

 子どもにとっての「あそび」は、「人間のはからいを超えた行為」と言う先生もいます。つまり、大人の価値観を刷り込ませるような教育で子どもが育つのではなく、子どもたちの主体的な「あそび」を通し、自分自身に満足し、本来持っている意欲や信頼といった生きる力が育つのです。それは人間の根っことなる力と言えます。木は、根っこが強く深く育たなければ、大輪の花や実をつけることはできません。それと同じで、目に見えない根っことなる力が育つことによって、子どもたちの健康的で豊かな心身が育つのです。

 ただし、そのような生きる力は勝手に育つのではなく、信頼できる人との関係性やその環境の中で育てられていきます。子どもが不安や困難をかかえた時、それを大人が取り除くことは大切かも擦れません。しかし、それが子どもの育ちにつながるかどうかは、大人がよく考えるべきだと思います。むしろ、子どもが不安や困難を抱えた時に、傍に寄り添い話を聞き、一緒に考えその困難を乗り越えていくことが、子どもにとって豊かな経験になり、力になるのではないでしょうか。

 子どもの抱える問題に詳しい専門家によると、「子どもの育ちに必要なのは、一緒に苦労してくれる重要な他者と失敗できる居場所」だと言われます。大人が子どもの成長や成功への道筋を作るのではなく、生きていく困難の中で一緒にじたばた苦労すること。そして失敗できる居場所、子どもそのままを認め合える関係性を作ることではないでしょうか。

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